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健ちゃんの妄想部屋

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僕の頭の中の物語たち
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「どうしてそんなことを言うの?」

僕は彼女に言えないままだった。
だってそんなことを言うのは女々しいと思っていたから。
彼女は自分のことを素直だと言う。
もしそれが本当なら、彼女は僕のことなんか全然好きじゃないってことになる。
僕はそれを認めたくないが、認めなければならないことも分かっている。
だからこそ僕には言えない言葉がたくさんあった。

「言いたいことを我慢する関係なんてまっぴらごめんだ」

僕はずっと思っていた。
別に彼女に対してだけではない。
友達だって、上司にだってそうだ。
本音と建前を使い分けるのは、それっきり会わないと決まっているような人と話すときだけで十分だ。
そう思っていた。
でも僕は彼女には言いたいことがまったく言えなかった。
言えば終わると思ったから。
彼女に振られることを恐れたんじゃない。
たぶん僕が終わらせようとするだろうから。

「このままの関係でいいのか?」

僕はずっと思っていた。
確かに彼女のことは好きかもしれない。
でも、一緒にいて楽しくはない。
彼女も楽しそうではない。

「だったらこの関係は何なんだ?続けることに意味があるのか?」

たぶんないんだと思う。
終わらせた方がいいことはある。
感情だけでどうにかならない問題はたくさんあるんだと思う。

「じゃあなぜ終わらせない?」

それは僕が情けない男だからだ。
いつか彼女が理想の人になると、きっとどこかで期待してるんだ。

「そんな日は来ないよ」

分かってる。
自分でも分かってるんだ。
だから早く終わらせた方がいいってことも分かってるんだ。

彼女はどう考えてるんだろう。
同じようなことを考えてるんだろうか。
もしそうなら少しは可能性があるだろう。
僕らが一緒にいる意味はあるんだろう。

結局のところ僕らが一緒にいる理由は、二人とも一人ではいられない弱虫だからだ。
おかしいな。
一人でいる時は誰かと一緒にいたいなんて思ったことなかったのに。
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