健ちゃんの妄想部屋
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僕の頭の中の物語たち
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ここに一人の男の子がいる。
名前をたかしという。
ここに一人の女の子がいる。
名前をさゆりという。
さゆりはたかしが好きだった。
たかしに近づきたかった。
「ねぇたかしくん。私あなたのことが知りたいの」
「うん」
「たかしくんの宝物を見せて」
「・・・」
たかしは嫌がった。
たかしには宝物があった。
でもそれは人に見せられるようなものではなかった。
外見は汚く、触ろうとすると壊れそうだった。
でもたかしにとってそれは美しく、とても大切なものだった。
たかしはそれを人に見せようとはしなかった。
どうせ人はそれを宝物だとは思わないから。
でもたかしはいつもそれを人に見せたかった。
見せ方が分からなかった。
「どうしたの?」
「・・・」
たかしは黙って首を横に振った。
宝物を見せるのを拒んだ。
「じゃあ私のを見せてあげる」
さゆりは一つの宝箱を取り出して見せた。
「どう。キレイな箱でしょ?」
たかしは羨ましかった。
こんなにも堂々と宝物を見せることができるさゆりが羨ましかった。
「・・・」
「でもね。この中には何も入ってないの」
さゆりは泣いた。
さゆりには宝物はなかった。
宝物を入れる箱を大事にしてきたが、とうとうさゆりには何を大切にすればいいか分からなかった。
だから箱には何も入れなかった。
さゆりの涙は止まらなかった。
たかしは自分が悪いんだと思った。
さゆりを泣かしているのは自分だと思った。
「・・・」
たかしは黙ったまま、その自分の宝物を見せた。
汚く、脆い、その宝物を差し出した。
壊れないように、大事に、両手で包むように、差し出した。
さゆりは泣きながらそれを大事に受け取った。
そして泣きながら笑った。
「これがたかしくんの宝物なんだね」
さゆりはそれをずっと見つめた。
角度を変えたり、擦ってみたり、色々な方法でそれを見た。
たかしはその姿を見れなかった。
さゆりがいつ嫌な顔をするか分からなかったから。
ずっと下を向いていた。
「とてもキレイだね」
さゆりの言葉にたかしは驚いた。
顔を上げてさゆりを見ると、その手にあるものはとてもキレイに輝いていた。
さっきたかしが渡したものには見えなかった。
でもたかしには、それが確かに自分の宝物であることが分かった。
「うん。そうなんだ。これが僕の宝物なんだ!」
たかしは嬉しそうに言った。
さゆりはまた少し悲しくなった。
また涙がこぼれた。
「そうだ!これをさゆりの箱に入れよう」
「え?いいの?」
「もちろんさ!だってこれを輝かせたのは君じゃないか!」
「・・・」
さゆりはまた黙って泣いた。
たかしとさゆりは、たかしの宝物をさゆりの箱に入れた。
二人は恥ずかしそうに笑った。
手の中には二人の宝物。
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