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健ちゃんの妄想部屋

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僕の頭の中の物語たち
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ラックはとある街の小学5年生。
最近この街に引っ越してきました。
ラックが噂で聞いたところによると、この街には神様がいるそうです。
「すぐに会えるよ。凄い人なんだ!」
そう聞いていたラックは、神様に会えるのをとても楽しみにしていました。

ある日、友達のダイが神様に会わせてくれるというので、付いていきました。
以外にもそこにいたのは、ただのおばさんでした。
長髪の白髪に、長い顎鬚のおじいさんの風貌を想像していたラックは少し拍子抜けしてしまいました。
でも神様には違いありません。

やがて大勢の友達が神様の周りに集まってきました。
みんな神様に会いたくて来たようです。
ある人は恋の相談を、ある人は勉強を教えてもらっていました。
神様はとてもみんなから人気があるようでした。

でもラックは神様に話しかけませんでした。
それを気にした神様がラックに話しかけました。
「こんにちは。君はどうしてこの街に来たんだい?」
ラックは困りました。
どうしてこの街に来たかと言われても、ただ両親の事情で引っ越してきただけだったからです。
「・・・」
ラックが答えられずに黙っていると、神様が言いました。
「どうして黙っているんだい?すべての行動にはそれを選択した根拠があるはずだよ」
神様の口調はとても優しかったのですが、ラックにはとても残酷な言葉にしか聞こえませんでした。
神様は続けました。
「この街ではみんなが勉強に夢中なんだ。君も勉強を頑張りなさい」
ラックは戸惑いましたが、一言こう答えました。
「はい」

その日ラックは家に帰ってからも神様のことを考えていました。
みんなが慕う神様は、どこか残酷だとラックは感じたのです。
その日はそのまま寝ました。

あくる日、ラックが道を歩いていると、一人の女の子が2段のアイスクリームを食べながら歩いていました。
するとなんと、向こう側から神様が現れてその子に話しかけたのです。
ラックは電信柱に隠れて一部始終を見ました。
「あなたの食べているアイスクリーム。下がバニラで上がチョコレートね。上のチョコレートはいらないから捨てなさい」
そういうと神様は、女の子が持っていたアイスクリームを取り上げると、上のチョコレートだけを道に捨ててしまいました。
女の子は泣き出しました。
周りの人も一瞬何があったのかと気にしましたが、そばに神様がいたので何も言えませんでした。
神様は泣き止まない女の子を横目に、その場を立ち去りました。
女の子は、一段になってしまったアリスクリームを手に家に帰りました。

神様はその街ではやりたい放題でした。
でも街の人にとってはそれが当たり前だったので神様を疑う人は一人もいませんでした。
アイスクリームについていえば、神様はとうとうバニラやチョコのアイスの販売を禁止し、チョコミントだけ許すことにしたのです。
その他には、歩きながらイヤホンをするのを禁止、偏差値50以下の学校は廃校、朝は7時から夜は22時まで働かなければならないというルールを作りました。

でも街の人は幸せそうでした。
なぜならそれらのことは全て、神様が決めたことだったからです。
神様の決めたことを疑うなんて考えられないことだったのです。

やがてラックは、一人街を去りました。
幸せな街を。
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ロイは何も持たないのが好きでした。
買い物に行く時は必要なお金をポケットに突っ込んで出かけました。
お金も必要になさそうなら手ぶらで出かけました。
その方が動きやすいから。
念のためなんて考えはロイにはありませんでした。

ある日、ロイが町を歩いていると、一人の少女が道で泣いていました。

「どうしたんだい?」

ロイが話しかけると、少女はロイを見上げて右手を見せました。
その手にはアイスの部分がなくなったソフトクリームがありました。

「そうか。アイスを落としてしまったんだね」

少女は黙って頷きました。

「でも困ったな。僕はお金を持っていないんだ。貧乏ってわけじゃないよ」

少女はまた泣き出しました。
ロイは辺りを見渡しましたが、道行く人は二人を見てみぬ振りをします。

「ちょっと待っててね」

ロイは急いで家に戻りお金を取ってきました。
走って20分くらいだったでしょうか。
ロイは一生懸命走りましたが、戻ったときにはそこに少女はいませんでした。
ロイはとても残念に思いました。

「そうか。お金くらい持ってた方がいいんだ」

それからロイはどこへ行くにもお金を持つようになりました。
足りないと困ると思い、いつも多めに持っていました。
やがてポケットではしまえなくなり、財布を持つようにもなりました。

またある日、ロイが町を歩いていると雨が降ってきました。
ロイは傘を持っていませんでした。
雨が降らないかもしれないのに傘を持ち歩くなどという考えはロイにはなかったからです。
ロイはしばらく花屋の軒下で雨宿りをすることにしました。
ロイはとてものんびりした性格だったので、ほんのしばらくの雨宿りはむしろ楽しいくらいでした。

やがて一人の青年がロイが雨宿りをしている軒下に駆け込んできました。
ロイが青年に目をやると、青年はとても慌しく、足をバタバタさせていました。
まるで「まだ止まないか。まだ止まないか」と言わんばかりの落ち着きようのなさでした。

「急いでいるのかい?」

「え?あ、はい」

「このくらいの雨が何だっていうんだい。急いでいるなら濡れていきなよ」

「いや、でも・・・」

ロイは青年が大事そうに抱えている物に目をやりました。

「今日これを提出しなければ大学を卒業できないんです。でも濡れてしまったら教授に読んでもらえない。それでもダメなんです」

ロイは自分が悪いことをした気になりました。

「ちょっと待ってて」

ロイは罪悪感からか、正義感からか、突然雨の中へ駆け出しました。
家に帰り、傘を持ってくるためです。
ロイは全力で走りました。
再び花屋に戻ってくるまでに15分ほどかかりました。
そこに青年の姿はありませんでした。

「レポートの提出には間に合ったのだろうか。レポートは濡れずに済んだのだろうか」

ロイはとても心配になりました。

それからのロイはいつでも、何でも持って家を出ました。
ただの散歩でも財布を持っていき、晴天でも傘を2つ持っていました。
いつでも貸してあげられるようにペンは全て2つずつ用意し、手帳も肌身離さず持ち歩きました。
非常食として水とお菓子も持って歩きました。

「念のため念のため」

そんなわけだからロイはいつも大きなリュックサックを背負っていました。
周りはいつもそんなロイを不思議な目で見ましたが、ロイは全然気付きませんでした。

「これで何があっても対応できるぞ」

ロイはいつもそう思って外へ出かけていきました。

ところがそれからというもの、ロイは困った人に会わなくなりました。
どこを見渡しても困った顔をしている人がいないのです。
晴れの日も雨の日も。
朝も夜も。
人々は実に快適そうに暮らしているように見えました。

「せっかくみんなを助けてやろうと思ったのに」

ロイはとても悔しがりました。
ロイはみんなの役に立ちたかったのです。

自分だけ良ければいいと思っていたロイは、みんなのために色々な物を背負いました。
でもそんなロイを、人々は必要とはしなかったのです。
なぜなら、人々から見て困っているように見えたのはロイの方だったからです。
「どうしてそんなことを言うの?」

僕は彼女に言えないままだった。
だってそんなことを言うのは女々しいと思っていたから。
彼女は自分のことを素直だと言う。
もしそれが本当なら、彼女は僕のことなんか全然好きじゃないってことになる。
僕はそれを認めたくないが、認めなければならないことも分かっている。
だからこそ僕には言えない言葉がたくさんあった。

「言いたいことを我慢する関係なんてまっぴらごめんだ」

僕はずっと思っていた。
別に彼女に対してだけではない。
友達だって、上司にだってそうだ。
本音と建前を使い分けるのは、それっきり会わないと決まっているような人と話すときだけで十分だ。
そう思っていた。
でも僕は彼女には言いたいことがまったく言えなかった。
言えば終わると思ったから。
彼女に振られることを恐れたんじゃない。
たぶん僕が終わらせようとするだろうから。

「このままの関係でいいのか?」

僕はずっと思っていた。
確かに彼女のことは好きかもしれない。
でも、一緒にいて楽しくはない。
彼女も楽しそうではない。

「だったらこの関係は何なんだ?続けることに意味があるのか?」

たぶんないんだと思う。
終わらせた方がいいことはある。
感情だけでどうにかならない問題はたくさんあるんだと思う。

「じゃあなぜ終わらせない?」

それは僕が情けない男だからだ。
いつか彼女が理想の人になると、きっとどこかで期待してるんだ。

「そんな日は来ないよ」

分かってる。
自分でも分かってるんだ。
だから早く終わらせた方がいいってことも分かってるんだ。

彼女はどう考えてるんだろう。
同じようなことを考えてるんだろうか。
もしそうなら少しは可能性があるだろう。
僕らが一緒にいる意味はあるんだろう。

結局のところ僕らが一緒にいる理由は、二人とも一人ではいられない弱虫だからだ。
おかしいな。
一人でいる時は誰かと一緒にいたいなんて思ったことなかったのに。
ここはアリアル王国という国。
王様のユールが統治している王国です。

ユール王は働くことがとても嫌いな王様で、いつも楽ばかりしようとします。
ご飯を食べるのも、服を着替えるのも、お風呂に入るのも、全部家来にやってもらっていました。
ろくな法律も作らず、国政はボロボロでした。

そんなユール王に国民はいつも頭にきていました。

「自分ばかり楽して!俺らの生活は苦しくなるばかりだ!」
「そうだ!お前も働け!本当は私たちだって働きたくないんだ!」
「そうだそうだ!」

さすがのユール王も考えました。
そして閃きました。

「よし!わしだけが楽をするのは申し訳ない。国民全員が楽をできるようにしよう!ロボットを作ろう!」

それからというものの、王国の予算のほとんどはロボットなどのハイテクノロジー開発に注ぎ込まれました。
たくさんの研究者たちが毎日研究室にこもり、みんなが楽をできるようなロボットを開発していきました。
やがてユール王が思い描いたロボットができました。

それに乗り込むと、自分で歩かなくてもロボットが歩いてくれる。
好きな食べ物も勝手に口に運んでくれる。
喋らなくても代わりに言いたいことをロボットが言ってくれる。
そんな夢のようなロボットがとうとう完成したのです。

「よくやった!これで国民全員が楽に生きることができるぞ!」

ユール王は喜びました。
国民も喜びました。
一部の人はロボットの導入に反対していたようですが、国王軍によってすぐに殺されてしまいました。

「こりゃ楽だ!」
「うーん。快適」

それからのアリアル王国民は、とても楽に暮らすことができるようになったのです。


それから1年・・・。


遥か遠くの国、アボイ共和国から一人のバックパッカーがアリアル王国へやってきました。
彼は最新のテクノロジーを誇るアリアル王国を一度見てみたいと思い、大金をはたいて訪れてきたのです。

「うわー。ここがアリアル王国かー。すごいなー。ロボットがいっぱいだー」

旅人はとても興奮しながらアリアル王国の街を歩きました。
少ないお金を使って、食事や買い物、観光を楽しみました。
やがて旅人は気付きました。

「なんで誰もいないんだ?」

旅人はすぐに、“ロボットしかいない国”に飽きてしまい、国へ帰りました。

「きっとアリアル王国の人は、自分の国は退屈だからってロボットに全部任せてしまって、自分たちは海外旅行を楽しんでるんだ。うん、そうに違いない!」


アリアル王国の人たちは確かにそこで暮らしていました。
1年前、ロボットが導入されてからも確かにそこにいました。
あれからもたくさんの旅人をもてなしてきたはずです。

ただ、アリアル王国の人たちは、人間である必要性を失っただけなのです。
動く必要性、喋る必要性。
やがてロボットが一通りの行動を覚えてからは、考える必要性さえなくなりました。
意思を失った人間は、もう人間である必要性を失ったのです。

もう人間である必要がなくなったアリアル王国民たちは、とても楽に人生を過ごすことができるようになったのでした。

「これが君達の望んだ生活だろ?」

ユール王のロボットがつぶやきました。
田中くんは小学6年生の男の子。
本当に普通の男の子。
友達もいるし、家族もいる。
勉強も普通にできる男の子です。
でも田中くんはそんな自分が好きではありませんでした。

「俺はもっとすごい!みんなに尊敬されるべき人間なんだ!」

田中くんは内心ではそう思っていました。

ある時田中くんは自分を変えることを決心しました。
自分を変えるというよりも、正確には内なる自分を解放することでした。
それからの田中くんは、クラスを仕切り、言う事を聞かない友達を叱ったりもしました。

「どうだみんな!これが俺だ!俺は偉いんだ!」

中には田中くんの言う事聞き続けた人もいましたが、そんなに多くはありませんでした。
むしろほとんどのクラスメートが田中くんから離れていきました。

「なんだよあいつ。ムカつくよな」
「何様だよ」
「偉そうにしてるだけじゃん」

クラスのみんなは田中くんの悪口を言いました。
でも田中くんに直接言う人は誰もいませんでした。

そんな時、唯一田中くんの言う事を聞き続け、いつも側にいた佐藤くんが言いました。

「田中くん、君は何がしたいんだい?」

田中くんは考えました。
一晩中考えました。
それでも答えが出ないから、学校を休みました。
でも、次の日もその次の日も答えは出ませんでした。
とうとう田中くんは不登校になってしまいました。

「なんかあいつ最近来ないな」
「なんかつまんないな」
「次は誰を無視しようか」

田中くんは部屋でまだ考えていました。

「うーん・・・。僕は何をしたかったんだろう」

田中くんはずっと考え続けました。

「そうか!俺はみんなのリーダーになりたかったんだ!俺のすることに、みんなが付いてくることを俺は願ってた」

田中くんは再び学校へ行きました。
佐藤くんが挨拶へ来ました。

「やっと学校へ来てくれたね。みんな待ってたよ」
「心配かけたね」
「もう前みたいな態度はやめるんだよ?」
「うん、分かってるよ。それじゃ誰もついて来ないからね」

田中くんはクラスメート一人一人に謝りました。

「いいよいいよ、全然気にしてないよ」

ほとんどの人がこんなようなことを言いました。

田中くんは嬉しくなりました。
あんなにもひどい自分を許してくれるみんなが好きになりました。

ところが、休み時間になると田中くんは一人ぼっちでした。
誰も田中くんには話しかけません。
佐藤くんすら離れていきます。
田中くんから話しかけても、みんな返事をしてくれません。
本当は誰も田中くんのことを許していなかったのです。

「あー。俺は取り返しのつかないことをしてしまったんだな」

次の日、田中くんは学校の屋上から飛び降り自殺をしました。
お葬式では泣くクラスメートの姿もありました。

やがてまたクラスには日常が戻りました。
田中くんのいないクラスはとても平和に見えました。
ただ不思議なことに、それから3ヶ月おきに、そのクラスからは屋上から飛び降り自殺をする人が出たのです。
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健ちゃん
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