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健ちゃんの妄想部屋

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僕の頭の中の物語たち
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田中くんは小学6年生の男の子。
本当に普通の男の子。
友達もいるし、家族もいる。
勉強も普通にできる男の子です。
でも田中くんはそんな自分が好きではありませんでした。

「俺はもっとすごい!みんなに尊敬されるべき人間なんだ!」

田中くんは内心ではそう思っていました。

ある時田中くんは自分を変えることを決心しました。
自分を変えるというよりも、正確には内なる自分を解放することでした。
それからの田中くんは、クラスを仕切り、言う事を聞かない友達を叱ったりもしました。

「どうだみんな!これが俺だ!俺は偉いんだ!」

中には田中くんの言う事聞き続けた人もいましたが、そんなに多くはありませんでした。
むしろほとんどのクラスメートが田中くんから離れていきました。

「なんだよあいつ。ムカつくよな」
「何様だよ」
「偉そうにしてるだけじゃん」

クラスのみんなは田中くんの悪口を言いました。
でも田中くんに直接言う人は誰もいませんでした。

そんな時、唯一田中くんの言う事を聞き続け、いつも側にいた佐藤くんが言いました。

「田中くん、君は何がしたいんだい?」

田中くんは考えました。
一晩中考えました。
それでも答えが出ないから、学校を休みました。
でも、次の日もその次の日も答えは出ませんでした。
とうとう田中くんは不登校になってしまいました。

「なんかあいつ最近来ないな」
「なんかつまんないな」
「次は誰を無視しようか」

田中くんは部屋でまだ考えていました。

「うーん・・・。僕は何をしたかったんだろう」

田中くんはずっと考え続けました。

「そうか!俺はみんなのリーダーになりたかったんだ!俺のすることに、みんなが付いてくることを俺は願ってた」

田中くんは再び学校へ行きました。
佐藤くんが挨拶へ来ました。

「やっと学校へ来てくれたね。みんな待ってたよ」
「心配かけたね」
「もう前みたいな態度はやめるんだよ?」
「うん、分かってるよ。それじゃ誰もついて来ないからね」

田中くんはクラスメート一人一人に謝りました。

「いいよいいよ、全然気にしてないよ」

ほとんどの人がこんなようなことを言いました。

田中くんは嬉しくなりました。
あんなにもひどい自分を許してくれるみんなが好きになりました。

ところが、休み時間になると田中くんは一人ぼっちでした。
誰も田中くんには話しかけません。
佐藤くんすら離れていきます。
田中くんから話しかけても、みんな返事をしてくれません。
本当は誰も田中くんのことを許していなかったのです。

「あー。俺は取り返しのつかないことをしてしまったんだな」

次の日、田中くんは学校の屋上から飛び降り自殺をしました。
お葬式では泣くクラスメートの姿もありました。

やがてまたクラスには日常が戻りました。
田中くんのいないクラスはとても平和に見えました。
ただ不思議なことに、それから3ヶ月おきに、そのクラスからは屋上から飛び降り自殺をする人が出たのです。
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